トラックドライバーの事故の不安は、慣れてもゼロにはなりません。経験者130人のうち28人が、事故の怖さやヒヤッとした話を自分から書いていました。
5年以上続けた人にも不安は残っています。それでも、不安を書いた人のほうが後悔は少なめでした。
運転が仕事になると、ぶつけたらどうしようと考えるのは自然なことです。どんな人が不安を感じ、実際の事故は何がきっかけだったのかを順に見ていきます。
- 事故が不安な人は5人に1人
- 不安は慣れても消えない
- 職種と男女で変わる不安
- 実際に事故を起こした5人の原因
- 入る前に確かめる事故の決まり
- 不安を減らす職場の選び方
トラックドライバーの事故の不安は5人 に1人が書いていた
事故の不安を書いた人は130人中28人(22%)です。このうち5人は、実際に事故を起こしたり巻きこまれたりしていました。
不安の話は「一番きつかったこと」「後悔したこと」「これからの人へ」の答えから拾いました。自分から書いた人の数なので、書かなかった人にも不安はあったと考えておくほうが自然です。
入る前に事故時の決まりを聞くべきと書いた人も26人います。
「少し居眠りしそうになった瞬間とか、ヒヤッとする場面は何度もありました。」
事故が怖いと感じるのは、あなただけではありません。経験者も同じ気持ちを抱えたまま、毎日ハンドルを握っています。
「事故の不安は大きかったです。」
事故の不安は慣れても消えない
消えません。経験3年以上の57人でも、15人(26%)が事故の不安を書いていました。
経験年数別「事故の不安や経験を書いた人」の割合
1年未満は40人中8人、1〜3年は33人中5人です。どの年数でも15〜26%で、長く続けた人ほど不安が減るわけではありませんでした。
「今まで事故をしなかった事は運が良かっただけだと思う。」
ベテランは、事故がだれにでも起こりうると知っています。不安が残るのは気がゆるんでいない証拠でもあります。
未経験から始めた人の多くは、最初の数か月を先輩の横に乗って道と車に慣れていきます。これを横乗りの研修と呼びます。ひとりで走る日が来ても、怖さを知っている人は無理をしません。
ヒヤッとする場面は毎日の運転の中にある
ヒヤッとした場面として多いのは、飛び出し・居眠りしかけた瞬間・車線の変更です。どれも特別な日ではなく、いつもの道で起きています。
決まったルートを回る仕事でも、工事や渋滞で毎日少しずつ道の様子が変わります。慣れた道ほど気がゆるむので、ベテランほど気を張っていました。
初めて行く届け先も緊張する場面です。前の日に地図で入口や停める場所を見ておくと、当日の焦りが減ります。
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事故の不安を書いた28人のうち、ドライバーになったことを後悔しているのは10人(36%)でした。ほかの102人では49%です。
事故の不安の有無と「後悔あり」 「きつかった」の割合
仕事が「きつかった」と答えた人も、不安ありで36%、なしで47%でした。事故を怖がる気持ちは、この仕事に向いていないしるしではありません。
「でも慣れてくると「今日も無事故で走り切った」という達成感が癖になります。」
28人と102人の比べなので、差は目安です。それでも不安を書いた人が後悔しやすい、という傾向は見られませんでした。
無事に一日を終えることが、そのまま手ごたえになる人もいます。怖さを知っていることは、続けるうえで弱みになりません。
「大型の運転は多少センスが必要ですが、慎重にやっていれば事故なく続ける事ができます。」
事故の不安は食品配送と送迎で多い
職種でいちばん多いのは食品配送で、13人中6人が事故の不安を書いていました。送迎も多めです。
職種別「事故の不安や経験を書いた人」の割合(9人以上の職種)
人数は食品配送13人・送迎9人・トラック30人・ルート配送31人・軽貨物9人・宅配21人です。食品配送と送迎は人数が少ないので目安としてください。
不安が多い職種は、狭い道や住宅街を時間どおりに回る仕事です。停める場所を探しながら走る場面が多く、気が休まりません。
「スピードの出せない狭い道を通りながら、事故などを起こさないよう送迎の時間までに間に合わせなければいけないのが、一番きついと思った。」
「事故の不安について、とても大きくありました。」
送迎は人の命を乗せて走るので、荷物とは別の重さがあります。高速道路を長く走るトラックは、狭い道より眠気との戦いになります。
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女性は42人中14人(33%)が事故の不安を書いていました。男性は88人中14人(16%)です。
男女・働き方別「事故の不安や経験を書いた人」の割合
パートは33人中12人、正社員は68人中11人です。女性やパートの人は、食品配送や送迎で住宅街を回る仕事が多いことも関わっています。
数字だけ見ると心配になりますが、不安を書くのは慎重に走っている人です。前の章のとおり、不安を書いた人の後悔は少なめでした。
「運転が得意じゃないことに途中で気がついて、事故をしないかなど毎日不安になりしんどかったです。」
「こちらが気を付けていても飛び出しなどがあるかもしれないと思い、勤務していた。」
勤務時間が短い人ほど不安を書いていた
1日の勤務時間別「事故の不安や経験を書いた人」の割合
8時間未満は52人中15人、8〜10時間は27人中6人、10時間以上は46人中5人でした。短い時間で決まった件数を回す仕事ほど、急ぐ気持ちが事故の不安につながっています。
長い時間を走る人は、事故より眠気や体のきつさを先に挙げていました。短時間のパートを考えている人は、1日に回る件数を聞いておくと安心です。
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事故を起こした・巻きこまれた5人の話では、寝不足と急いだことがきっかけに目立ちました。雨や大雪の日の事故もあります。5人の話なので、よくある例として読んでください。
- 寝不足で仕事に出て集中力が落ちていた(トラック)
- 睡眠を削って急いでいて、狭い道で車を擦った(トラック)
- 大雪の北海道で、1週間に2回事故にあった(食品配送)
- 雨の日に自分だけの事故を起こしてけがをした(食品配送)
- 右折のときに直進の車とぶつかる事故に遭った(ルート配送)
5人のうち後悔ありは2人でした。事故のあとも、多くの人は仕事を続けています。
「たった一度のミスで大勢の人達に迷惑をかけてしまい本当に心から反省しました。」
「大きな事故ではなかったものの、「急いでも安全より優先してはいけない」と強く反省しました。」
事故の多くは、運転のうまさより前の体調と気持ちの余裕で起きています。眠い日と急いでいる日がいちばん危ないと覚えておきましょう。
雨と雪の日は不安が大きくなる
天気の悪い日の話もよく出てきました。雪の多い地域では、冬のあいだずっと滑る怖さと付き合うことになります。
「冷蔵車からの荷出しは体が芯まで冷え、さらに雪道での運転は常にスリップ事故の不安がつきまといました。」
天気の悪い日は、いつもより時間がかかって当たり前です。遅れたときに会社がどう扱うかも、雪の多い地域では聞いておきましょう。
停める場所がない焦りも事故の不安になる
トラックを停める場所が見つからず、焦って作業したという声もあります。駐車違反を気にしながらの荷下ろしは、気持ちの余裕を奪います。
「その上、道が狭くてトラックを停める場所がなく、駐車違反に怯えながら焦って作業した時は本当に心身ともに限界でした。」
街なかの配送では、停める場所を探す時間も仕事のうちです。停めにくい届け先が多いかは、先輩に聞くといちばん早くわかります。
関連記事トラックの眠気はどうする?経験者の対策を見る→事故のあとに困るのは仕事が止まること
事故のあとに困ったのは、処理が終わるまで仕事が止まることでした。残った荷物はほかの人が回すことになります。
「自己処理が終わるまで動けないので仕事が止まってしまい周りに迷惑をかけてしまう事で心苦しく、もっと慎重に運転すべきだったと後悔しました。」
「他者を巻き込まない事故だったが、自分が怪我をしてしまい、事故の不安できつかった。」
上の口コミの「自己処理」は、事故のあとの手続きのことです。警察への届け出や会社への報告が済むまで、次の配達に行けません。
この人は雨の日に事故を起こし、そのあとも不安でつらかったと書いていました。けががなくても、気持ちが戻るまでには時間がかかります。
会社の報告書や手続きが思ったより大変だったという声もありました。事故のあとにだれが何をするのかは、入る前に聞いておくと慌てません。
事故の不安と付き合うには
事故の不安を書いた28人が、これから始める人に向けて書いたことを見てみます。
多かったのは事故・眠気の不安と時間指定・焦りの話です。どちらも入る前に確かめられます。
入る前に聞いておきたいこと
- 運行の組み方と、仮眠や休憩が取れるかを聞く
- 1日の配達件数と時間指定の多さを聞く
- 横乗り研修の期間と、相談できる人がいるかを聞く
事故は気をつけていても起こりえます。だからこそ起きたあとの決まりがはっきりした会社を選ぶのが身を守る近道です。修理代を自分で払うのかどうかは、面接で必ず聞いておきましょう。
事故が不安な人が入る前に確かめること
確かめるのは事故時の対応・修理代の自己負担・保険の3つです。経験者26人が、入る前に聞くべきこととしてこれを挙げていました。
男女別「事故時の決まりを確かめるべき」と書いた人の割合
女性は42人中12人、男性は88人中14人です。修理代を給料から引く会社もあるので、ここは遠慮せずに聞きたいところです。
「事故時の対応や保険・保障がどうなっているかなどは、詳しく聞いた方がいいと思います。」
免責は、保険を使っても自分で払う分の金額のことです。たとえば免責5万円なら、修理代のうち5万円までは保険から出ません。
軽貨物の業務委託では、事故のときの負担が自分にかかることもあります。
面接で聞く質問
事故で車を傷つけたとき、修理代の一部をドライバーが払う決まりはありますか。
会社の車にはどんな保険が入っていて、自己負担はいくらまでですか。
事故が起きたとき、最初にどこへ連絡して、そのあと誰が対応してくれますか。
最初は何日くらい、先輩の横に乗って教えてもらえますか。
ドライブレコーダーやバックカメラは付いていますか。
事故の不安を減らすトラックドライバーの職場選び
不安を減らすには、時間に追われない運行の会社を選ぶのがいちばんです。急ぐ気持ちが事故の不安を大きくしていました。
「それどころか慌てることで事故のプレッシャーを感じる。」
「現在は廃棄物処理のドライバーですがデジタコもなければカメラもなく、時間にはゆとりがあるので仕事はしやすくなった。」
この人は時間に追われる配送から、ゆとりのある仕事に移って楽になっていました。同じドライバーでも、1日の件数と時間の決まり方で怖さは変わります。
- 1日に回る件数と、時間指定の多さを聞く
- 横乗りの研修が何日あるかを聞く
- 最初は狭い道の少ないルートや小さめの車から始める
- 眠い日は無理をしない。休憩を取れる運行かを確かめる
AT限定の普通免許なら、まずは軽バンや普通車の配送から始められます。大きな車は慣れてからでも遅くありません。
車の装備がそろった会社は事故のあとも頼れる
車の装備を見ておくと、会社が安全にどれだけお金をかけているかがわかります。ドライブレコーダーは、もらい事故のときに自分を守る記録にもなります。
「会社でドライバーの労働時間管理や健康管理にも真剣に取り組んでいる会社や運行記録計などを導入しているかを確認するべきです。」
運行記録計は、走った速さや時間を記録する機械のことです。記録が残る会社は、事故のときに話が早く進みます。
一方で、カメラや記録に見張られている気がして疲れたという声もあります。見学のときに、記録を何に使っているかを聞いておくと安心です。
古い車ばかりの職場では、ブレーキの効きや車の大きさが日によって変わります。毎日同じ車に乗れるかどうかも、慣れるまでの怖さを左右します。
事故が不安でもトラックドライバーに向いている人
向いているのは、怖さを知っていて急がない人です。不安を書いた人の多くは、そのぶん安全を一番にしていました。
- 時間より安全を優先できる
- 眠い日や体調の悪い日を自分で判断できる
- わからない道は前もって地図で見ておける
- 急かされると焦ってしまう
- 寝不足のまま運転に出ることが多い
- 運転そのものが苦手でつらい
「ただ事故の危険は常に付きまとうのでその意識をもって応募して欲しい。」
事故の危険をわかったうえで始める人は、むしろ長く続いています。運転が苦手でつらいなら、運転の少ない仕事も選択肢に入れましょう。
トラックドライバーの事故の不安によくある質問
トラックドライバーは事故が怖くなりませんか?
怖さを感じる人は多いです。経験者130人のうち28人が、事故の不安やヒヤッとした話を書いていました。
事故の不安は慣れたらなくなりますか?
なくなりません。経験3年以上の57人でも15人が不安を書いていました。慣れで消すより、急がない働き方を選ぶほうが確実です。
事故を起こしたら修理代は自分で払いますか?
会社によって違います。経験者26人が、事故時の自己負担や保険を入る前に確かめるべきと書いていました。
女性でも事故が心配なくトラックドライバーになれますか?
女性42人のうち14人が事故の不安を書いていました。狭い道や件数の多い配送を避け、研修のある会社から始めると安心です。
どんなときに事故が起きやすいですか?
事故を起こした5人の話では、寝不足と急いでいたときでした。雨や雪の日も多く出てきます。
運転に自信がなくてもドライバーを始められますか?
始められます。AT限定の普通免許なら軽バンや普通車の配送から入り、横乗りの研修で慣れていく人が多いです。普通免許で乗れる車の重さは取った時期で違い、2トン以上は準中型免許が必要になる車もあります。
トラックドライバーの事故の不安は会社選びで小さくできる
- 事故の不安や経験を書いた人は130人中28人
- 経験3年以上でも26%が不安を書いていて、慣れでは消えない
- 不安を書いた人の後悔は36%で、ほかの人より少なめ
- 実際の事故のきっかけは寝不足と焦り
- 事故時の自己負担と保険は、入る前に聞いておく
事故の不安は消えませんが、急がされない会社を選べば小さくできます。怖さを知っている人ほど、安全に長く走れる仕事です。