ルート配送はやめとけ、という声を見て迷っている人は多いはずです。経験者130人のうちルート配送で働いた31人の答えで確かめました。
後悔した人は31人中16人で、いちばん多い理由は求人や面接で聞いた話とのずれでした。「ルート固定で楽」と聞いて入り、残業や代走に驚いた人が目立ちます。
反対に、1日8時間未満で働いた人やパートの人は後悔が少なめでした。パートは9人中2人・女性は8人中3人です。仕事そのものより、どの会社でどれだけ働くかで分かれています。
- 後悔ありは31人中16人
- 後悔の理由は求人の話とのずれ
- 10時間をこえると後悔が増える
- 正社員とパートの差
- 後悔しなかった人の共通点
- 求人で確かめること
ルート配送はやめとけ?後悔ありは31人中16人
ルート配送の経験者31人のうち、後悔が「ある」「少しある」の人は16人(52%)でした。ほかのドライバー職99人では44人(44%)です。
ルート配送とほかの職種の後悔の有無
差は8ポイントで、ルート配送だけが飛びぬけて悪いわけではありません。きつかったと答えた人も48%で、ほかの職種の43%と近い数字です。
やめとけは言いすぎですが、半分は後悔しているのも事実です。31人のうち30人は未経験から始めていて、入ってから知ったことで悔やんだ人が多くいました。
金額で月収を答えた18人の中央値は21万円でした。中央値は金額を低い順に並べてまん中に来る人の額です。
この額には手取りで答えた人と、税金を引く前の額面で答えた人が混ざっています。短い時間のパートも入るので、正社員で金額を答えた11人だけなら26万円です。
関連記事ルート配送の給料を31人の数字で見る→後悔の理由は求人や面接の話とのずれ
後悔した16人の声を中身で分けると、求人や面接で聞いた話とちがったが7人でいちばん多くなりました。職場の人が4人・長時間で休めなかったが3人です。
ルート配送の後悔の中身(16人)
16人はどれか1つの中身にだけ入ります。グラフの14人のほかの2人は、大きな会社の監視の厳しさとルートを覚えきれなかった話でした。
「求人票に書かれていた「固定給」の額面だけで会社を選んでしまい、みなし残業代が何時間分含まれているかを細かく確認しなかったことを少し後悔しています。」
2tで1日10時間以上走った40代前半の人です。みなし残業は、決まった時間ぶんの残業代が月給に先に入っている仕組みのこと。残業が増えても給料がほとんど変わらなかったと書いています。
「初めての転職でしたが、求人広告が嘘だらけということを学びました。」
契約社員で入った40代後半の人で、昇給も賞与も実際はなかったそうです。求人の言葉は入口にすぎないので、面接で数字を聞き直すことで後悔はかなり防げます。
ルート固定だから楽は当たらない会社もある
ルート配送は毎日同じ道を回るので楽、という言い方はよく聞きます。ただ固定のはずが代走や追加で崩れたという声が3人から出ていました。
「求人票の「固定ルートで安心」という言葉を鵜呑みにしてしまい、実際には欠員が出た際に全く知らないルートを急に走らされる「代走」が頻繁にあったことを入社後に知りました。」
コンビニ配送で深夜から早朝に走った40代前半の人です。休んだ人の代わりに知らないルートを急に走る「代走」が、入ってからよくあると知りました。
「面接のときに「ルート固定だから早く終わるよ」と言われたのですが、実際は新規の件数や納品先の追加が多くて毎回残業になり、拘束時間が想定より長かったことです。」
こちらは2tで商店街を回った40代後半の人です。新しい届け先が増えて、毎回残業になったと書いています。
「ルート固定で4時間という短い勤務時間で楽勝だなと思っていたが、15件以上もありそのどれもが「遠い」と感じる距離で間に合うかギリギリの時間設定だった。」
お弁当を届けたパートの30代後半の人で、15件以上をぎりぎりの時間で回っていました。固定ルートかどうかより、1日の件数と時間の決め方を聞くほうが確かです。
届ける時間が決まっているのがつらいという声
ルート配送の届け先は、お店や会社が多く「何時までに」が決まっています。慣れないうちは間に合わず、お客さんからの電話やクレームに追われたという人もいました。
「新人の頃、運転に慣れていないのでお得意先のお届けに間に合わずクレームが来たこと」
軽バンで5年以上続けた30代前半の女性です。今は慣れて回れていますが、最初の数か月がいちばん苦しかったと読めます。道が混む時間帯を知るまでは、だれでも遅れやすいものです。
関連記事ドライバーの労働時間を経験者の数字で見る→1日10時間 をこえると後悔が増える
勤務時間で分けると、10時間以上の9人では7人が後悔していました。8時間未満の15人では5人です。
ルート配送の勤務時間別「後悔あり」の割合
人数は8時間未満15人・8〜10時間7人・10時間以上9人で、合わせて31人です。1つの区分は10人前後と少ないので目安ですが、10時間以上の人は8人がきつかったとも答えています。
ルート配送の勤務時間別「きつかった」の割合
8時間未満と8〜10時間では、きつかった人の割合はあまり変わりません。差がはっきり出るのは、1日10時間をこえるかどうかです。
「労働時間は基本16時間から20時間でした。」
大型でルート配送をした40代前半の人です。月40万円の稼ぎがあっても、会社選びを後悔したと書いています。
8時間 未満でも後悔した5人 は教わる期間が短かった
短い時間で働いた人でも、後悔した人は5人いました。目立つのは、ルートを教わる期間が短くて覚えきれなかったという話です。
「指導の人に一緒について回れたのが短い期間だったので配送ルートが全然覚えられなくて参った」
軽バンでお弁当を届けた50代後半のパートの女性で、3〜6ヶ月でやめています。帰りの時間を計られて問い詰められたことも、つらかったと書いていました。
先輩のとなりに乗って教わる期間を横乗りと言います。何日くらい横乗りで教えてもらえるかは、時間が短い仕事でも聞いておきたいところです。
ルート配送の後悔は正社員とパートで分かれる
働き方で分けると、正社員19人の後悔ありは12人(63%)でした。パート9人では2人(22%)です。
ルート配送の働き方別「後悔あり」の割合
ほかに契約社員が2人・業務委託が1人いて、合わせて31人です。パートの9人は9人が1日8時間未満で、時間の短さも後悔の少なさにつながっています。
正社員は月給が上がるぶん、残業や代走を任されやすい立場です。正社員で入るなら、残業の時間と残業代の出方をパートより細かく聞いておきましょう。
家計のために正社員の月給がほしい人も多いはずです。正社員でも1日10時間以上の7人は6人が後悔し、10時間未満の12人では6人でした。正社員で探すなら、まず10時間をこえない会社にしぼるのが近道です。
「子育て中でも家庭と両立できる働き方ができ、収入面でも助かりました。」
5年以上パートで続けた50代後半の女性です。ルート配送の女性は8人いて、後悔ありは3人でした。
職場の人で後悔したルート配送の声
ルート配送は運転中は一人ですが、朝の積み込みや会社に戻ったときに人と顔を合わせます。そこで後悔した人が4人いました。
「上記と被りますが、倉庫の担当長がかなりキツい方で、挨拶しても無視というフキハラ気質だったこと。」
フキハラは、不機嫌な態度で周りを困らせる嫌がらせのことです。正社員で入った50代前半の人で、1〜3ヶ月でやめています。面接で「キツい物言いの人はいないか」と聞いたのに、事実とちがったそうです。
「会社自体はとてもホワイトで働きやすかったです。」
軽バンで5年以上回った50代後半の女性です。それでも途中で来た課長のモラハラ(言葉や態度での嫌がらせ)でやめています。いい会社でも、一人の上司で続けにくくなることがあります。
ルート配送の後悔は入る前の話
ルート配送で後悔した16人は、運転よりも入る前に聞いた話と入ってからの扱いのちがいを悔やんでいました。
声の中心は給料・経費と長い拘束時間・休めない。どちらも会社しだいで大きく変わります。
経験者の声から学べること
- 固定給か歩合か、経費はだれが払うかを確かめる
- 面接で1日の拘束時間と休憩の取り方を数字で聞く
- 横乗り研修の期間と、相談できる人がいるかを聞く
固定ルートや短い時間という言葉は、件数と残業の数字がそろってはじめて信じられます。面接で数字を聞いた人ほど、ずれに驚かずにすみます。
ルート配送をやめとけと思わなかった人の共通点
後悔が「ない」「あまりない」の人は12人でした。声を読むと、一人で回る気楽さを挙げた人がほとんどです。
良かったことに一人の気楽さや人づきあいの少なさを書いたのは、ルート配送の31人中21人でした。
「毎日、完結する仕事なので、精神的には楽だから後悔はないです。」
2tで3〜5年走った50代前半の人です。1日の仕事がその日で終わることを、良さとして挙げています。
「楽しかった思い出しかないので、特に後悔はしていません。」
お弁当を軽バンで届けたパートの40代前半の女性です。配送先の家で顔見知りになり、話すのも楽しかったそうです。
- 1日8時間前後の会社を選んでいる
- 一人で回る時間を楽しめている
- 荷物の中身と重さを知ってから入っている
- お客さんとの短い会話を楽しめている
後悔した人でも、きつかったかどうかで差が出ました。きつかった15人の後悔ありは10人・そうでない16人では6人です。体の負担を減らせる会社を選ぶと、後悔はぐっと減ります。
関連記事ドライバーのやりがいを経験者の声で見る→ルート配送に向いている人・向いていない人
向いているのは、一人で黙々と回るのが好きで決まった時間で働きたい人です。お客さんと顔なじみになるのが楽しいという声もありました。
- 人に気をつかう仕事に疲れている
- 子育てや家のことと時間を合わせたい
- 同じ道を回って早く終わらせるのが好き
- 時間に追われると焦ってしまう
- 腰が弱いのに手積みの多い会社を選ぶ
- 道を覚えるのがどうしても苦手
「初めてやるなら月給制や時給制のルート配送をお勧めします。」
宅配やゆうパックも経験した人の声で、歩合の仕事より続けやすいとすすめています。
体力が心配なら運ぶ荷物の中身で選ぶ
ルート配送は運ぶ物で重さがまるでちがいます。お米や飲料のケースを階段で運んだ人もいれば、軽い段ボールが中心だったという人もいました。
「例えば日用品や食品、菓子類の場合は軽量な段ボールを積むことが多いのですが、工業製品や飲料などの場合はかなりの重量があるので、自分の力量と照らし合わせることも大切です。」
乾物を運んだ50代後半の人の声です。同じルート配送でも、積む物しだいで体への負担が変わります。腰や体力が気になる人は、求人の「取り扱い品」の欄から先に見ると選びやすくなります。
2017年3月以降に取った普通免許だと、2tトラックの多くは運転できません。その上の準中型という免許が要るからです。AT限定の人は、軽バンや普通車で回る会社から探すと始めやすくなります。
関連記事ルート配送ドライバーの体験談とデータ→ルート配送の求人で確かめること
ルート配送の経験者が「確かめた方がいい」と書いたことは、残業と拘束時間が14人でいちばん多くなりました。荷物の重さや手積みが11人・事故のときの保険が5人です。
ルート配送の経験者が確かめてと書いたこと(31人)
1人が2つ以上を書いていることもあるので、足すと31人をこえます。拘束時間は、朝の積み込みから会社に戻るまでの全部の時間のこと。届け先で荷物を待つ時間もふくまれます。
「荷物の積み降ろし方法と、みなし残業時間の有無や実際の平均残業時間は必ず確認すべきです。」
手積みは、荷物を1つずつ手で積んで手で降ろすことです。残業の時間・荷物の積み方・事故の負担の3つを、面接で数字で聞いておきましょう。聞き方に迷ったら、下の文をそのままコピーして使えます。
ルート配送の面接で聞く質問
出勤から帰るまで、ふだんの1日は何時間ですか。1日に何件くらい回りますか。
ほかの方が休んだとき、担当外のルートを走ることはどれくらいありますか。
月給の中に固定の残業代はふくまれていますか。ふくまれるなら何時間分でしょうか。
いちばん重い荷物は何で、何キロくらいですか。カゴ台車やパレットで降ろせる届け先はどれくらいありますか。
車をぶつけたとき、ドライバーが負担するお金はありますか。
カゴ台車は車輪のついた大きなかご、パレットは荷物をまとめて載せる台のことです。どちらも1つずつ手で運ぶより体が楽になります。
求人票の言葉は聞くことに置きかえる
後悔した人がつまずいた言葉は、求人票によく出てくるものばかりでした。言葉を見たら、それを数字で聞く質問に置きかえると、入ってからのずれを小さくできます。
- 「ルート固定」とあれば、1日の件数と代走の回数を聞く
- 「残業少なめ」とあれば、先月の平均の残業時間を聞く
- 「未経験歓迎」とあれば、横乗りで教わる日数を聞く
- 「高収入」とあれば、1日何時間働いた人の額かを聞く
どれも面接で聞いて失礼になる質問ではありません。答えがあいまいな会社は、入ってからも同じようにあいまいなことが多いものです。
関連記事ブラックな運送会社の見分け方→ルート配送のやめとけについてよくある質問
ルート配送は本当にやめとけと言われる仕事ですか?
ルート配送の経験者31人のうち、後悔した人は16人(52%)でした。ほかのドライバー職の44%より少し高い程度です。
ルート配送の後悔でいちばん多い理由は何ですか?
後悔した16人のうち7人が、求人や面接で聞いた話とちがったことを挙げました。「ルート固定で楽」と聞いて入り、代走や残業に驚いた人が目立ちます。
ルート配送はきつい仕事ですか?
きつかったと答えたのは31人中15人でした。1日10時間以上の9人では8人がきつかったと答えています。
ルート配送は未経験でもできますか?
ルート配送の31人のうち30人は未経験から始めていました。軽バンや普通車の会社なら普通免許で始められます。
女性でもルート配送はできますか?
ルート配送の女性は8人で、後悔ありは3人(38%)でした。男性は23人中13人(57%)です。
ルート配送の給料はいくらですか?
月収を金額で答えた18人の中央値は21万円でした。正社員かパートか、1日の時間で大きく変わります。
ルート配送はやめとけではなく会社と時間で選ぶ仕事
- ルート配送の後悔ありは31人中16人の52%でほかの職種は44%
- 後悔の理由でいちばん多いのは求人や面接の話とのずれで7人
- 1日10時間以上の9人は7人が後悔し8時間未満は15人中5人
- 正社員は19人中12人が後悔しパートは9人中2人
ルート配送そのものをやめとけと言う数字は出ていません。後悔した人の多くは、入る前に残業や代走の実際を聞けていませんでした。
1日の時間と件数、残業代の中身を確かめてから選べば、一人で回る気楽さをそのまま受け取れる仕事です。