トラックドライバーは底辺の仕事だと、ネットや知り合いに言われることがあります。経験者130人のうちトラックで働いた30人の答えで、その噂を確かめました。
トラックの月収の中央値は26万円で、ドライバーの職種の中でいちばん高い額でした。後悔した人は47%と半分近くいますが、ほかの職種の46%と同じ水準です。
ただし稼いでいる人の多くは1日10時間以上働いていました。底辺かどうかより、時間と会社を選べるかで満足が分かれます。
- 月収の中央値は26万円
- 稼げるのは長く働く人
- 職場の人が荒いかは会社しだい
- 後悔は47%でほかと同じ
- 一人で働ける気楽さ
- 求人で確かめること
トラックドライバーは底辺?月収の中央値は26万円
トラックドライバーの月収の中央値は26万円でした。中央値は、金額を低い順に並べてまん中に来る人の月収です。
ルート配送や宅配など、トラック以外のドライバー職は19万円で7万円の差があります。
トラックとほかの職種の月収(中央値)
このグラフは月収を金額で答えた人だけで出しています。トラックは30人のうち17人・ほかの職種は100人のうち55人です。
答えには手取りと額面が混ざっています。トラックの17人は少なめなので、次の見出しで30人全員の金額帯も見ていきます。
月26万円を12か月で見ると年312万円ほどです。賞与は会社ごとに大きくちがうので、この額には入れていません。
正社員だけで見ると、トラックの13人は30万円でした。ほかの職種の正社員26人は24.8万円です。
給料が安いから底辺という噂は、トラックには当てはまりませんでした。事務の仕事からドライバーに移って給料が良くなったという人もいました。
「仕事は体力が必要だしきついけど給料が良いので給料明細を見て我慢できる感じです。」
中距離を走った30代後半の女性です。きつさと給料の高さが、同じ人の中にそろって出ています。
月30万円 以上はトラック30人中13人
月収の金額帯で「30万円以上」を選んだのは、トラック30人中13人(43%)でした。こちらは30人全員の答えです。
職種別「月30万円以上」の割合
人数はルート配送31人・宅配21人・食品配送13人・その他12人・軽貨物と送迎が9人ずつ・タクシー5人です。タクシーは人数が少ないので目安です。
送迎の9人は全員が1日10時間未満で、7人は8時間未満でした。短い時間で働けるぶん、月収は30万円に届いていません。
同じ配送でも、ルート配送で30万円以上は3人だけでした。ドライバーの中でも、給料の高さはトラックがはっきり上です。
トラックで月40万円台を選んだ人も2人いました。どちらも大型やトレーラーに乗る正社員です。
反対に、月10万〜20万円台の人もトラックに3人いました。副業で週末だけ走った人や、入って半年ほどの人です。働く日数と年数で、同じトラックでも額は大きく変わります。
関連記事ドライバーで稼げる職種を月収で比べる→稼げるのは1日10時間以上働く人
トラックで月30万円以上だった13人のうち、11人は1日10時間以上働いていました。8時間未満の5人には、30万円以上の人がいません。
トラックの勤務時間別「月30万円以上」の割合
人数は8時間未満5人・8〜10時間7人・10時間以上16人です。勤務時間が日によって大きくちがった2人は、このグラフに入れていません。
長く働くぶん、きつさも上がります。10時間以上の16人では10人がきつかったと答えました。8時間未満の5人は、きつかった人が0人です。
トラックの勤務時間別「きつかった」の割合
トラックの給料が高いのは、長い時間を走っているからです。時給にすると高くないと感じた人もいました。
「休日が少ないのと帰宅してから就寝までの時間がカツカツなので、趣味をしたりという時間は取りづらいです。」
大型で中距離を走った40代後半の人で、月収は35万円でした。長時間を「底辺」と呼ぶかは人によりますが、家で過ごす時間はかなり減ります。
近距離と中・長距離で働き方が分かれる
走る距離で分けると、中距離の9人は7人が月30万円以上でした。近距離の16人では3人です。
走る距離別「月30万円以上」 と「きつかった」
中距離の9人は全員が1日10時間以上で、きつかったのは6人でした。長距離は5人と少ないので目安ですが、30万円以上ときつかったがどちらも3人です。
近距離の16人は多くが1日10時間未満で、きつかったのは3人だけでした。家に毎日帰りたい人は近距離、稼ぎを取りたい人は中距離という分かれ方です。
関連記事ドライバーの労働時間の実態を見る→職場の人が荒いかは会社しだい
トラックの職場は荒っぽいという噂は、当たる会社と当たらない会社がありました。荒い社風に当たった人は、それで会社をやめています。
「一部の良い人に助けられなんとかなったが社風自体が荒々しい社風だったので挨拶をしない、人を馬鹿にする奴らがたくさんいた。」
中距離を走った30代前半の人です。同じ人が「規律がしっかりしている会社とそうでない会社がある」とも書いていました。
「人間関係はやんちゃな人が多いけど縦社会が大丈夫ならすぐに馴染めます。」
産業廃棄物を運んだ50代前半の人の声です。年下の先輩に怒鳴られてやめたくなったという60代のパートの人もいました。
一方で、ドライバーどうしは気楽で話もはずむという声も3人から出ています。職場の雰囲気は職種より会社で決まるので、入る前に見学するのがいちばん確かです。
「人間関係が希薄なので余計な気を使わなくてよいですし、毎日行く場所が変わるので気分転換になり、達成感も味わえます。」
見学では、事務所でのあいさつや車のきれいさを見ておきましょう。トラックがきれいかどうかを確かめると書いた経験者もいました。
配車係の話し方も手がかりになります。毎日指示を受ける相手なので、ここが荒いと運転中も気が休まりません。面接に出てきた人の言葉づかいも、その会社の空気をよく映しています。
関連記事トラックドライバーの人間関係は楽?→トラックの後悔は47% でほかの職種と同じ
後悔が「ある」「少しある」のトラックドライバーは30人中14人(47%)でした。ほかの職種は100人中46人(46%)です。
トラックとほかの職種の後悔の有無
きつかったと答えた人も、トラックは40%・ほかの職種は46%でした。トラックだけが特に後悔しやすい、という数字は出ていません。
トラックの後悔の中身(14人)
拘束時間は、出勤してから帰るまで会社にしばられる時間のこと。運転していない待ち時間も入ります。
後悔した14人の声を中身で分けると、会社選びと拘束時間が6人でいちばん多くなりました。職場の人と仕事の中身が3人ずつ・給料が見合わないが2人です。
「もっと会社の労働環境や拘束時間を事前に細かく確認しておくべきだったと深く反省しています。」
4tトラックで中距離を走った40代前半の人です。勢いで決めて、家族との時間がほとんど取れなかったと書いています。
トラックの後悔は会社の条件
後悔した14人は、運転そのものより入った会社の時間と給料の条件で悔やんでいました。
多かったのは給料・経費と長い拘束時間・休めないの話です。どちらも入る前に確かめられます。
入る前に聞いておきたいこと
- 固定給か歩合か、経費はだれが払うかを確かめる
- 面接で1日の拘束時間と休憩の取り方を数字で聞く
- 横乗り研修の期間と、相談できる人がいるかを聞く
トラックが底辺かどうかより、どの会社で何時間走るかのほうが後悔に効いています。会社を選ぶ段階で差がつきます。
トラックの良さは一人で働ける気楽さ
「やってよかったこと」に一人の気楽さを書いたトラックドライバーは30人中19人でした。人づきあいの少なさや自分のペースで走れることも入れています。
「一人で気楽」 を良かったことに挙げた割合
ほかの職種も6割ほどで、ドライバーのどの仕事にも通じる良さです。トラックは走る時間が長いぶん、一人の時間がいちばん長い仕事です。
「基本1人行動だったので変に気を使う必要がなく伸び伸びと働け、後悔はしていないです。」
手に職がついたという声
大型免許や経験が次の仕事につながったという声もありました。人手が足りない仕事なので、免許と経験があれば転職で困りにくいと書いた人が何人かいます。
「大型免許を持っていれば転職で困ることもないので資格を持っていてよかったなと思う」
「手に職をつけたことによって、経験を積みキャリアアップできたことが一番良かったことだと思います。」
5年以上近距離を続けた40代後半の女性です。経験を見込んで給料を上げてくれる会社もあったと書いています。
関連記事ドライバーのやりがいを経験者の声で見る→底辺と感じずに続けている人の共通点
トラックの30人のうち11人は5年以上続けていて、26人は未経験から始めていました。後悔が「ない」「あまりない」と答えた人には、似たところがあります。
荷物を1つずつ手で荷台に積み、届け先でまた手で降ろすことを手積み手降ろしと言います。腰を痛めたトラックの人の声にも、この作業の話がよく出てきます。
関連記事ドライバーの腰痛はどれくらい?→- 拘束時間を知ったうえで給料と引きかえにしている
- 一人で走る時間を楽しめている
- 荷物の積み方を確かめてから入っている
- 合わない会社なら次の会社へ移っている
今の会社で残業がほぼなくなったという40代後半の人は、前の会社では12時間の勤務がふつうでした。同じトラックでも、会社を変えただけで働き方が大きく変わっています。
「前職のドライバーはストレスしかなかったが、現在のドライバーは1人の時間が長く、残業もほぼ無く給料も対価に相応してる。」
長距離でなければ夕方に家に帰れるという声もありました。家族がいる人は、近距離から探すと生活と両立しやすくなります。
「内容を覚えてしまえば、前の仕事より楽だし一人で仕事ができるし、長距離でなければ毎日夕方に家に帰れるのでとても良い」
1年たたずにやめた人は最初の職場でつまずいた
トラックを1年未満でやめた人は5人で、そのうち3人が後悔ありでした。人数は少ないものの、3人とも仕事より職場の人や条件でつまずいています。
「教育係が喫煙者で、喫煙者がとなりにいる中で12時間臭いに耐えるのがきつかった。」
4tで中距離を走った20代後半の人で、1〜3ヶ月でやめています。月収は30万円で、給料には不満がありませんでした。
最初の数か月は、先輩のとなりに乗って教わる横乗りの期間がある会社が多いです。最初に組む先輩との相性は、入ってすぐの続けやすさを大きく左右します。見学のときに、教える人がどんな人かを見ておくと安心です。
トラックドライバーに向いている人・向いていない人
向いているのは、一人の時間が好きで長い時間を走れる人です。給料の高さは、時間の長さとセットで受け取ることになります。
- 人に気をつかう仕事に疲れている
- 時間が長くても月給を上げたい
- 運転と車が好きで道を覚えるのが苦にならない
- 毎日決まった時間に家族と夕食をとりたい
- 腰が弱いのに手積みの多い会社を選ぶ
- 上下関係のきつい職場がどうしても苦手
「命をかけている仕事の割には給料が低いですが、1人になれる時間も多くあり、人との付き合いがあまり得意ではない人には良い仕事です。」
2017年3月以降に取った普通免許では、車両総重量3.5t未満の車にしか乗れません。トラックの多くは準中型か中型の免許が要ります。
トラックの30人では4tに乗った人が9人・大型(10t)が4人でした。AT限定の普通免許なら、軽バン(荷台の広い軽自動車)や普通車で回る宅配・ルート配送・送迎から始められます。働きながら準中型の免許を取る道もあります。
関連記事トラックドライバーの体験談とデータ→トラックの求人で確かめること
見るのは拘束時間・手積みの有無・残業代の中身の3つです。トラックの後悔と口コミは、この3つに集まっていました。
「手積み手降ろしの有無は絶対に確認したほうがいい。」
「求人票では高収入に見えても、実際は長時間労働や残業込みだったというケースもありました。」
求人に手積み「ほぼなし」とあっても、入るとほとんど手積みだったという人もいました。腰が気になる人ほど、ここは面接で聞いておきたいところです。
面接では、ふだん何時に帰れるかを数字で聞いておきましょう。下の質問はボタンでコピーできます。
トラックの面接で聞く質問
出勤から帰るまで、ふだんの1日は何時間ですか。
積み込みと荷降ろしは手作業ですか。フォークリフトを使う現場はどれくらいありますか。
求人の月給には、何時間ぶんの残業代が先に入っていますか。
ドライバーの方は、ふだん月に何日くらい休めていますか。
入る前に職場を見学したり、同乗したりできますか。
みなし残業は、決まった時間ぶんの残業代が月給に先に入っている仕組みです。長く走っても給料が増えにくいので、何時間分かを必ず聞いておきます。
関連記事ブラックな運送会社の見分け方→トラックドライバーの底辺についてよくある質問
トラックドライバーは本当に底辺の仕事ですか?
経験者30人の月収の中央値は26万円で、ドライバーの職種の中でいちばん高い額でした。後悔した人の割合もほかの職種と同じ47%です。
トラックドライバーの給料は安いですか?
月30万円以上を選んだのは30人中13人でした。ただし13人のうち11人は1日10時間以上働いています。
トラックドライバーは長時間労働ですか?
トラックの30人のうち16人が1日10時間以上でした。8時間未満は5人です。
トラックの職場はガラが悪いですか?
荒い社風に当たった人もいれば、ドライバーどうしは気楽だったという人もいました。会社による差が大きいので、見学で雰囲気を確かめるのが確かです。
未経験でもトラックドライバーになれますか?
トラックの30人のうち26人は、ドライバー未経験から始めていました。免許は準中型か中型が要る車が多いです。
女性でもトラックドライバーはできますか?
トラックの30人のうち女性は4人でした。人数が少ないので目安ですが、大型や中距離で働いた人もいます。
トラックドライバーは底辺ではなく時間で選ぶ仕事
- トラック30人の月収の中央値は26万円でほかの職種は19万円
- 月30万円以上は30人中13人でそのうち11人は1日10時間以上
- 後悔ありは47%でほかの職種の46%と変わらない
- 後悔の中身でいちばん多いのは会社選びと拘束時間
トラックドライバーは給料の低い底辺の仕事ではありません。ただ稼げる人ほど長く走っているので、時間と給料のどちらを取るかを先に決めておきましょう。