長距離トラックは稼げると聞くけれど、体がもつのか心配。家族と過ごす時間が減るのも気になる。長距離に興味はあっても、そこで足が止まる人は多いはずです。
トラック経験者30人のうち、1日10時間以上働いた16人では10人(62%)が仕事をきつかったと答えました。10時間未満の12人では1人だけです。
長距離のきつさの中身は、睡眠と荷物の積み下ろしと時間に追われることでした。その一方で月収は高めで、後悔は10時間未満の人より多くありません。
- 長距離ドライバーがきついと答えた割合
- 勤務時間別のきつさ
- 長距離のきつさの中身
- 長距離で稼げる月収
- 長距離を続けた人が挙げた良さ
- 長距離の求人で確かめること
長距離ドライバーがきついと答えたのは62%
1日10時間以上走ったトラック経験者16人のうち、10人(62%)がきつかったと答えました。「ややきつかった」「かなりきつかった」を合わせた数です。
ここでは、トラックで1日10時間以上働いた人を長距離に近い働き方として見ています。トラック30人の内訳は10時間以上が16人と10時間未満が12人です。残る2人は日によって大きく違ったと答えています。
この記事の勤務時間は、運転と休憩と荷待ちをすべて含めた1日の長さです。仕事に縛られるこの時間を、業界では拘束時間と呼びます。
トラック経験者の「きつかった」の割合
10時間未満の12人では8%、トラック以外も含めた経験者130人全員では45%でした。長く走る働き方を選ぶと、きついと感じる人は大きく増えます。
「しかし実際に始めてみると、週に3本の長距離というペースが想像以上に体に堪えました。」
この人は大型トラックで5年以上走った40代です。1本走り終えても、すぐ次の出発が待っていたと書いています。
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きついと答えた人がいちばん多いのは10〜12時間の帯です。10〜12時間の9人では7人(78%)、12時間以上の7人では3人(43%)でした。
トラックの勤務時間別「きつかった」の割合
人数は6〜8時間が5人、8〜10時間が7人です。どの帯も10人に満たないので、割合は目安として見てください。
12時間以上の7人には、長年大型に乗る人や、運転を交代しながら助手として乗った人が入っています。長いほどきついという一直線ではなく、慣れや乗り方でも感じ方は変わります。
「仕組み上荷待ちの時間がかなりあるので、そのせいで拘束時間が自ずと長くなる」
12時間以上でも「かなり楽だった」と答えたこの人は、長い時間の多くが荷待ちでした。荷待ちとは、荷物を積む・降ろす順番が来るまで待つ時間のことです。
関連記事ドライバーの労働時間の実態と時間別のきつさ→長距離のきつさは睡眠と荷物と時間
10時間以上の16人が書いたつらさは、睡眠・荷物の積み下ろし・時間に追われることの3つに集まりました。それぞれ6人ずつです。
10時間 以上の16人が書いたつらさ
1人で2つ以上を書いた人が5人いるので、どれかに当たる人は12人です。残る4人は、荷待ちの長さや道に迷った話、台風の中の運転を書いていました。
睡眠が足りないまま次の運行に出る
「金曜日の夜に出発して月曜日の朝に戻ってくるような運行スケジュールの中で、連続運転による慢性的な睡眠不足と眼精疲労が一番きつかったです。」
この人は週末だけ長距離の定期便に乗る副業でした。いちばんつらいのは、走る時間より次の出発までに眠れる時間が足りないことです。
「一番きつかったのは、運賃の安さゆえに高速道路をほとんど使えず、下道ばかりを走らざるを得なかったことです。」
下道とは、高速道路を使わず一般道を走ることです。運賃が安い仕事では高速代が出ず、信号や渋滞で走る時間がのびて眠る時間が削られていました。
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長距離でも、着いた先の積み下ろしは自分でやることがあります。手積み・手降ろしは、フォークリフトを使わず手で荷物を積む・降ろす作業のことです。
「運転時間が大半だと思っていたが、実際は荷物の手積み手降ろしや納品先での待ち時間が予想以上に長く、体力的な負担が大きかった。」
運転が仕事の大半だと思って入ると、ここで驚く人が多くいます。フォークリフトで積み下ろす職場なら、体の負担はずっと軽くなります。
「最近は、ほとんどフォークリフトでの荷積荷卸なので体力的にも、体調面でも負担は少ないです。」
家族と過ごす時間が減る
長い運行が続くと、家に帰っても寝るだけになりがちです。家族がいる人ほど、ここを後悔として書いていました。
「勢いだけで会社を決めてしまったせいで、その頃の家族との時間がほとんど取れなくなってしまったんだ。」
「休日が少ないのと帰宅してから就寝までの時間がカツカツなので、趣味をしたりという時間は取りづらいです。」
家にいる時間を守りたい人は、週に何日家に帰れるかを入社前に聞いておきましょう。毎日帰れる中距離の運行を選ぶ人もいます。
長距離ドライバーの月収は中央値30万円
1日10時間以上走ったトラック経験者の月収は、中央値で30万円でした。16人のうち金額で答えた9人の値で、残る7人は月収を幅で答えています。
中央値は、金額を低い順に並べたときにまんなかに来る人の額です。10時間未満のトラック12人では、金額で答えた8人の中央値が24万円でした。
トラックの勤務時間別の月収(中央値)
30万円と24万円をくらべると、長く走る人のほうが月に6万円ほど多くなっています。30万円に12か月をかけると、賞与を入れずに年360万円ほどです。
正社員だけで見ると、10時間以上は31万円(8人)でした。どちらも人数が少ないので、金額は目安として見てください。
大型(10t)とトレーラーに乗った6人では、中央値が37.5万円でした。6人だけの数字なので目安ですが、6人とも正社員で大きな車に乗っていた人の額です。
普通免許は取った時期で乗れる重さが変わります。2017年3月以降に取った普通免許では、多くの2tトラックに乗れません。
2tトラックは荷物を積むと車全体の重さが3.5tをこえるものが多く、準中型免許が要ります。4tには中型免許、10tには大型免許が要ります。
AT限定の人は、まず限定を外すところから始めます。未経験なら、免許の費用を出してくれる会社で2tや4tから乗り始めるのが現実的な順番です。
関連記事大型(10t)ドライバーの月収の分布を見る→関連記事トラックドライバーは底辺?月収と後悔の中身→長距離を走った人のきつかった声
長距離の運行そのものを書いた人の声を集めました。拘束時間の不規則さをつらさに挙げる人が目立ちます。
「本業で運送の現場は知っていたので覚悟はしていましたが、長距離の拘束時間は想像を超えて不規則でした。」
パーキングエリアで仮眠を取りきれないうちに、次の運行の指示が来ることもあったそうです。体が戻らないまま走る怖さを書いています。
「寒さと睡魔と戦いながら、車内でじっと耐え抜いたあの恐怖は今でも忘れられません。」
この人は冬に北へ向かう高速で猛吹雪に遭い、車の中で立ち往生していました。長距離は天気も選べないので、冬の運行は特に余裕のある計画が要ります。
「渋滞や配達の遅れが続いた時、焦る気持ちから休憩を削って運転したことがありました。」
休憩を削った結果、狭い道で車を擦ってしまったそうです。時間に追われて休憩を飛ばすと、事故の危険が一気に上がります。

長距離を走った人の口コミからわかること
1日10時間以上走ったトラック16人が「働く前と違ったこと」に書いた内容を見てみます。
長い拘束時間・休めないの声がいちばん多く、次が給料・経費でした。面接で聞けば先に手を打てる内容です。
面接で確かめたいこと
- 面接で1日の拘束時間と休憩の取り方を数字で聞く
- 固定給か歩合か、経費はだれが払うかを確かめる
- 手積み・手降ろしがあるか、カゴ台車かを確かめる
長距離のつらさは、運転の長さそのものより眠れる時間と積み下ろしの重さで決まります。同じ長距離でも、高速代が出てフォークリフトで積み下ろす会社なら疲れ方はちがいます。運行の組み方を入社前に聞けるかが分かれ目です。
それでも長距離を続けた人が挙げた良さ
10時間以上の16人のうち10人が、一人で気楽に働けることを良かったことに挙げました。知らない土地を回れたことを書いた人も6人います。
10時間 以上の16人が挙げた良さ
「長距離ドライバーでなければ足を踏み入れることもなかったような町や道を、走れるのは特別な経験でした。」
「知らない土地にたくさん旅が出来たことは、今でも素晴らしい経験だったと思います。」
この人は60代の女性で、長野と和歌山を行き来する青果のトラックに助手として乗っていました。助手は、運転手のとなりに乗って積み下ろしや運転の交代を手伝う役目です。人づきあいが少なく、旅のように各地を回れることが長距離ならではの良さです。
後悔は10時間 未満の人より多くない
ドライバーになったことを後悔している人は、10時間以上で7人(44%)でした。10時間未満は6人(50%)です。
トラック経験者の「後悔あり」の割合
後悔ありは「後悔がある」「少しある」と答えた人です。16人と12人なので差はほとんどないと見るのが自然です。
きつさが大きく増えても、後悔はそれほど増えていません。稼ぎと気楽さで割り切っている声がその理由を物語っています。
「仕事は体力が必要だしきついけど給料が良いので給料明細を見て我慢できる感じです。」
この人は30代の女性で、大型免許を持ってトラックに乗っています。女性でも長く走る仕事で稼いでいる人はいます。
「男でも女でも同じ収入があるから嬉しいですよね。」
日中だけ働きたい人には、長距離より送迎や地場の配送のほうが合います。女性がつらいと感じたことは、下の記事で読めます。
関連記事女性ドライバーはきつい?女性の経験者の声を見る→長距離ドライバーに向いている人・向いていない人
向いているのは、一人の時間が好きで、どこでも眠れる人です。眠れないと次の運行に響くので、寝つきのよさは体力と同じくらい大事になります。
- 一人で長い時間を過ごすのが苦にならない
- 車の中やパーキングエリアでも眠れる
- 知らない土地を走るのが楽しい
- 長く働く分しっかり稼ぎたい
- 毎日決まった時間に家へ帰りたい
- 眠る場所が変わると寝つけない
- 腰や体に不安があり手積みがつらい
- 時間に追われると焦ってしまう
家族との時間を大事にしたい人や腰が気になる人は、日帰りの中距離や地場の配送から始めると無理がありません。地場とは、会社の近くの決まったエリアを回る配送のことです。
「内容を覚えてしまえば、前の仕事より楽だし一人で仕事ができるし、長距離でなければ毎日夕方に家に帰れるのでとても良い」
長距離かどうかで、家に帰れる日数は大きく変わります。どちらが自分の暮らしに合うかを先に決めておきましょう。
長距離の求人で確かめること
確かめたいのは、週の運行本数・高速代・積み下ろしの方法・荷待ちの4つです。どれも、眠れる時間と体の負担に直結します。
「実際のその会社の運行ルートを調べ、走るイメージと給料が合っているのかよく考えて会社を選んで下さい。」
「また、長距離の場合は帰路の空車時に高速道路代が会社持ちになるのかどうかも必須の確認項目です。」
帰り道で荷物がないときに高速代が自分持ちになると、下道で帰るしかなくなります。高速代の扱いは、眠る時間を守れるかどうかに関わります。
長距離の面接で聞くこと
1週間に長距離の運行は何本くらいありますか。家に帰れるのは週に何日ですか。
行きも帰りも高速道路は使えますか。高速代は会社が払いますか。
荷物の積み下ろしはフォークリフトですか。手積みはどれくらいありますか。
着いてから荷物を降ろすまで、待つ時間はどれくらいありますか。
運行と運行のあいだに、休める時間はどれくらい取れますか。
2024年4月からトラックの拘束時間の上限が厳しくなり、長距離の働き方は見直しが進んでいます。ただ現場の声には、まだ変わりきっていないという本音もありました。
「2024年問題で改善しようとはしているけど、働き方はまだまだ昭和だと思う。」
決まりがあっても、守れているかは会社しだいです。面接では先輩ドライバーの実際の運行を聞くと、本当のところが見えてきます。
未経験なら短い運行から慣らす
ドライバーが初めての人は、いきなり週に何本も走る運行を選ばないほうが安心です。副業で長距離に乗った人も、無理のない本数から始めるよう書いていました。
「もし検討しているのであれば、まずは無理のない運行距離や回数からスタートさせてもらい、自分の睡眠サイクルがしっかりと維持できるかどうかを見極めてから本格化させてください。」
最初は日帰りの中距離で運転と積み下ろしに慣れ、眠り方がつかめてから泊まりの運行に移る人もいます。体が慣れる順番を自分で選べる会社なら、長距離のきつさはぐっと小さくなります。
長距離ドライバーのきつさでよくある質問
長距離ドライバーは本当にきついですか?
1日10時間以上走ったトラック経験者16人のうち、10人(62%)がきつかったと答えました。10時間未満の12人では1人です。
長距離ドライバーでいちばんきついことは何ですか?
睡眠・荷物の積み下ろし・時間に追われることが、それぞれ6人ずつでした。眠れる時間が足りないまま次の運行に出るつらさが多く書かれています。
長距離ドライバーの月収はいくらですか?
1日10時間以上のトラック経験者で、金額で答えた9人の中央値は30万円でした。大型とトレーラーの6人では37.5万円です。
長距離ドライバーは家に帰れますか?
運行の組み方で変わります。週に何本も走る運行では、家にいる時間が寝るだけになったという声がありました。週に何日帰れるかは面接で聞いておきましょう。
長距離ドライバーになるには何の免許が要りますか?
4tトラックには中型免許、10tには大型免許が要ります。今の普通免許では2tトラックに乗れないことがあり、その場合は準中型免許を取ります。
長距離ドライバーを後悔している人は多いですか?
10時間以上の16人で後悔ありは44%、10時間未満の12人では50%でした。長く走る人のほうが多いわけではありません。
家族がいても長距離ドライバーを続けられますか?
続けている人はいますが、家族との時間が取れなかったことを後悔に書いた人もいます。家族を優先したいなら、毎日帰れる中距離や地場の配送も比べてみてください。
女性でも長距離ドライバーはできますか?
10時間以上の16人には、女性が2人いました。大型に乗る30代の女性は「ややきつかった」、助手として乗った60代の女性は「やや楽だった」と答えています。
長距離ドライバーのきつさは運行の組み方で変わる
- 1日10時間以上走ったトラック16人のうち10人がきつかった
- つらさの中身は睡眠・荷物の積み下ろし・時間に追われることで6人ずつ
- 月収の中央値は30万円で、10時間未満より6万円多い
- 後悔ありは44%で、10時間未満の人より多くない
長距離はきついと感じる人が多い仕事ですが、稼ぎと一人の気楽さで続けている人もいます。眠れる時間と積み下ろしの方法を入社前に確かめれば、つらさはかなりおさえられます。