ドライバーの退職金は運輸業の7割の会社に!中退共なら5年で30万円台
ドライバーの退職金は、運輸業の会社の69.9%にあります。全産業の74.9%より少し低く、3割の会社には制度がありません。
中小の運送会社では、国の中退共(中小企業退職金共済)で積み立てる形がよく使われます。掛金が月5,000円なら、5年で30万4,100円が目安です。
退職金は「ある・なし」より、何年でいくら出るかを入社前に確かめた人が損をしません。
- 運送会社に退職金がある割合
- 会社の大きさでのちがい
- 中退共の仕組みともらえる額
- 経験者が何年続いているか
- 長く続けた人の月収と後悔
- 求人と面接での確かめ方
パートや送迎の仕事を考えている人は、中退共の節とパートの退職金の節だけ読んでも答えがわかります。
目次
ドライバーの退職金は運輸業の約7割の会社にある
厚生労働省の調査では、退職金の制度がある運輸業・郵便業の会社は69.9%でした。トラックや配送の会社はここに入ります。
出典は厚生労働省 令和5年就労条件総合調査(2026年10月26日に確認)の第16表です。制度がある運輸業の会社のうち72.0%は、辞めるときに一度にもらう退職一時金だけの形でした。
10社に3社は退職金がないので、求人の待遇の欄に書いてあるかを最初に見ます。
一度にもらう形と年金でもらう形のちがい
退職金の制度がある会社の形の内わけ(厚生労働省 令和5年就労条件総合調査(2026年10月26日に確認))
| 退職金の形 | 運輸業・郵便業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 一時金だけ | 72.0% | 69.0% |
| 年金だけ | 10.8% | 9.6% |
| 一時金と年金の両方 | 17.2% | 21.4% |
退職一時金は、辞めるときにまとまった額を1回で受け取る形です。退職年金は、会社の企業年金などで何年かに分けて受け取ります。
運送会社では一時金だけの形がいちばん多く、年金の形は少なめです。求人で「退職金あり」とだけあれば、たいていは一時金のことだと読んでかまいません。
退職金は会社の大きさで9割と7割に分かれる
従業員1,000人以上の会社は90.1%に退職金があります。30〜99人の会社は70.1%まで下がります。
会社の大きさ別の退職金の制度がある割合(厚生労働省 令和5年就労条件総合調査(2026年10月26日に確認))
| 会社の大きさ | 退職金の制度がある割合 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
| 全産業の平均 | 74.9% |
| 運輸業・郵便業 | 69.9% |
運送会社は中小が多い業界です。運輸業の69.9%が30〜99人の70.1%とほぼ同じなのは、そのためと読めます。
1,000人以上の会社は、一時金と年金の両方を持つ会社が47.1%ありました。30〜99人の会社では16.2%なので、年金の形まであるのは大きな会社が中心です。
大手は制度があるぶん、勤続の条件や計算の仕方も細かく決まっています。中小なら制度があるか、大手ならいくら出るかを先に聞くのが近道です。
中小の運送会社は中退共で退職金を積み立てる
30〜99人の会社で退職一時金がある会社のうち、48.5%が中退共を使っていました。中退共は国の中小企業退職金共済のことです。
- 掛金は月5,000円から30,000円の16種類で、全額を会社が払います
- 週の所定労働時間が30時間未満のパートは、月2,000円から4,000円の掛金でも入れます
- 会社がつぶれても、積み立てたお金は本人に直接払われます
出典は厚生労働省 令和5年就労条件総合調査(2026年10月26日に確認)の第17表と、中退共の案内です。社内で積み立てる会社と比べると、中退共は額の決まり方が表で見えるのが強みです。
求人に「中退共加入」とあれば、下の表で何年でいくらかの見当がつきます。
会社が自分で積み立てる制度との違い
30〜99人の会社で、社内で退職金を用意している会社は49.6%でした。中退共と社内の両方を使う会社もあります。
社内の制度は、基本給に勤続年数ごとの率をかけて決めることが多い形です。基本給が低めの会社では、勤続が長くても額がふくらみにくくなります。
中退共は掛金の額で退職金が決まるので、基本給の低さに引っぱられません。どちらの形でも、規程に書かれた計算の仕方を一度見ておくと安心です。
関連記事ドライバーの基本給はいくら?給料の仕組み→中退共の退職金は5年で30万円台から
掛金が月5,000円なら、5年続けて30万4,100円です。10,000円の会社なら同じ5年で60万8,200円になります。
中退共の基本退職金の額(厚生労働省 中退共の基本退職金額表(2026年10月26日に確認))
| 続けた年数 | 掛金5,000円 | 掛金10,000円 |
|---|---|---|
| 3年 | 180,000円 | 360,000円 |
| 5年 | 304,100円 | 608,200円 |
| 10年 | 632,800円 | 1,265,600円 |
| 20年 | 1,333,300円 | 2,666,600円 |
| 30年 | 2,106,550円 | 4,213,100円 |
表の額は基本退職金です。運用の成績しだいで付加退職金が足され、令和8年度は0.61%の上乗せと案内されています。
3年の18万円は、払った掛金の合計(36か月×5,000円)とちょうど同じ額です。法律が変わると額も変わることがあります。
会社が払った掛金と比べるといくら増えるか
掛金5,000円で5年なら、会社が払った掛金は合わせて30万円です。退職金は30万4,100円なので、増えるのは4,100円だけです。
10年なら掛金60万円に対して63万2,800円、30年なら180万円に対して210万6,550円でした。30年で払った額の約1.17倍です。大きく増えるお金ではなく、会社が積み立ててくれる分がそのまま残る仕組みと考えると近いです。
掛金が月10,000円の会社なら、どの年数でも額は5,000円のちょうど2倍です。求人や面接で掛金の月額を聞けば、表から自分の見込みがすぐ出せます。
1年未満で辞めると退職金は出ない
掛金を払った月が12か月未満だと、退職金は出ません。12か月から23か月は、払った掛金より少なくなります。
24か月から42か月は掛金と同じ額で、43か月(3年7か月)から上回ります。中退共の退職金は、3年半をこえたあたりから増え方が見えてきます。
正社員の経験者は5年以上続けた人が46%
経験者130人のうち正社員は68人で、5年以上続けた人が31人(46%)でした。中退共で掛金をこえる3年7か月の手前で止まった人は、1年未満の8人と1〜3年の16人です。
働き方別の経験年数
業務委託などは業務委託12人と個人事業主3人です。残りは副業3人と派遣社員1人で、合わせて130人になります。
パートで5年以上続けた人は33人中4人でした。パートは短い期間で入れ替わる人が多く、退職金の条件に届く前に辞める人も目立ちます。
正社員の半分近くは、退職金がはっきり増える年数まで続いています。長く勤める見込みがある人ほど、退職金の有無が効いてきます。
長く続けた正社員は月収も高く後悔は半々
5年以上の正社員31人のうち、月収を金額で答えた16人の中央値は32.5万円でした。中央値は金額の順に並べたときのまんなかの額です。
正社員の経験年数別の月収(中央値)
金額で答えたのは1〜3年が10人、3〜5年が8人です。3〜5年では1〜3年とほぼ同じで、上がるのは5年をこえてからでした。
正社員の経験年数別の後悔あり(ある+少しある)
後悔ありは1年未満で75%、5年以上でも55%でした。正社員68人全体では53%です。
3〜5年は13人と少なく、1人ちがうだけで8%ほど動きます。年数が長いほど後悔が減る、とは言えない結果です。
長く続けても後悔がなくなるわけではありません。退職金は続けたごほうびなので、続けられる会社かどうかを先に見ておきます。
月収と退職金を合わせて長い目で見る
月収の答えには、手元に入る手取りと、税金などを引く前の額面が混ざっています。人数も16人なので、5年以上で月30万円台に届く人が多いという目安として見てください。
月収が同じ2社でも、中退共で5,000円の掛金がある会社なら10年で63万2,800円の差がつきます。月の額だけで会社を比べると、この差が見えなくなります。
関連記事経験年数で給料はいくら上がる?何年目で変わるか→退職金と福利厚生をめぐる経験者の声
退職金の噂を信じて早く辞め、あとで悔やんだ宅配ドライバーがいます。新卒で入った会社を離れた30代後半の正社員です。
「当時は退職金がなくなってしまうという噂がありそれを信じてすぐに退職してしまいました。」
噂で動く前に、就業規則の退職金の決まりを読めば防げた話です。制度が変わるときは会社から説明があります。
「トラックよりも社会的信用が高い印象があり、福利厚生も安定していると感じたのが理由です。」
トラックから高速バスへ移った人は、福利厚生の安定を理由に挙げていました。大きな会社ほど制度が整っている、という表の数字とも合います。
「福利厚生は充実しているが職種によっては対象外になるので適用可能か確認するべき。」
同じ会社でも、職種や雇用の形で退職金の対象から外れることがあります。「退職金あり」の求人でも、自分の雇用の形が対象かまで聞きます。
「昇給やボーナスは実際は無し。」
求人にあった昇給や賞与が、入ってみたらなかったという契約社員の声です。退職金も同じで、書面で見るまでは当てにしないほうが安全です。
定年のあとにドライバーを選んだ人もいる
前の会社を定年で辞めてから、ドライバーとして働き始めた人もいました。退職金や年金だけでは足りず、生活のために選んだという声です。
「前職が定年退職となったため、生活のために仕事を探していたところ今の仕事に巡り会った」
この人は契約社員で5年以上続け、後悔は「ない」と答えています。退職金を受け取ったあとも、運転の仕事で収入を足す道があるということです。
逆に言えば、退職金だけで老後をまかなえる人は多くありません。退職金は老後の土台の1つで、ほかの備えと組み合わせて考えます。

長く続けた人のアドバイス
5年以上続けた正社員31人が、これから始める人へ書いたアドバイスの中身です。運行の組み方は1日に走る順番と時間の決め方、横乗り研修は先輩の隣に乗って仕事を覚える期間のことです。
声の中心は給料・経費と事故・眠気の不安。どちらも会社しだいで大きく変わります。
経験者の声から学べること
- 固定給か歩合か、経費はだれが払うかを確かめる
- 運行の組み方と、仮眠や休憩が取れるかを聞く
- 横乗り研修の期間と、相談できる人がいるかを聞く
退職金は長く勤めた先にあるものです。毎日の働き方を確かめることが、結果として退職金まで届く近道になります。
パートや業務委託の退職金は働き方で変わる
パートでも、会社が中退共に入れていれば退職金が出ます。週30時間未満なら掛金が月2,000円からの特例もあります。
中退共の額は掛金に比例するので、月2,000円なら5,000円の表の4割が目安です。5年で約12万円、10年で約25万円になります。
経験者130人のうちパートは33人、業務委託と個人事業主は15人でした。業務委託は会社に雇われていないので、会社の退職金はありません。
経験者130人の働き方
- 業務委託は退職金がない前提で、売上から自分で積み立てる
- 契約社員は、正社員と同じ退職金の対象かを就業規則で見る
- パートは、中退共に入る条件(時間や勤続)を面接で聞く
月の手取りが同じに見えても、退職金のある正社員と業務委託では長い目で差が出ます。
業務委託で退職金のかわりを作るには
業務委託は、売上から燃料代などの経費を引いた残りが手元に残るお金です。この手残りから毎月決まった額を別の口座に移しておけば、辞めるときの備えになります。
個人事業主が入れる国の小規模企業共済や、自分で掛けるiDeCo(個人型の確定拠出年金)もあります。正社員の退職金に近い形を自分で作るつもりで、毎月の額を決めて分けておくと続きます。
関連記事正社員とパートで月収と後悔はどうちがう?→求人と面接で退職金を確かめる方法
求人の待遇の欄に「退職金制度あり」と書いてあれば、次は条件を聞きます。何年からもらえるかと、中退共か会社の制度かの2つです。
- 退職金は何年勤めてからもらえるか
- 中退共か、会社が自分で積み立てる制度か
- 中退共なら、掛金は月いくらか
- 自分の雇用の形(契約社員・パート)が対象か
- 自己都合で辞めたときに減らされるか
求人票の退職金の欄の読み方
「退職金制度あり(勤続3年以上)」とあれば、3年たつまでは1円も出ないという意味です。「中退共加入」とあれば国の共済で、上の表で額の見当がつきます。
「退職金制度あり」とだけで条件が書いていない求人もあります。その場合は面接で聞くのが早く、聞きにくければ内定のあとに規程を見せてもらいます。
退職金を聞く例文
退職金制度について教えてください。何年目から対象になり、中退共か御社の制度かも知りたいです。
退職金の規程を、入社前に見せていただくことはできますか。勤続年数ごとの目安が知りたいです。
お金の話は聞きにくいものですが、長く勤める気があると伝わるので悪い印象にはなりません。規程を見せてもらえないときは、ほかの待遇も書面で確かめてから決めます。
入ってからは就業規則で退職金の決まりを見る
従業員が10人以上いる会社は、就業規則を作って働く人に見せる決まりがあります。退職金の制度があるなら、対象になる人や計算の仕方も書くことになっています。
入社したら、休憩室の掲示や社内の共有フォルダで就業規則を一度開いておきます。別の冊子で退職金規程を置いている会社もあるので、見当たらなければ事務の担当者に聞けば出してもらえます。
勤続の年数は、雇用の形が変わると数え直しになる会社もあります。パートから正社員に上がるときは、前の年数が退職金の計算に入るかを聞いておきます。
関連記事手当や賞与は求人のどこを見る?経験者の声→関連記事運送会社のブラックを見分ける確認ポイント→ドライバーの退職金でよくある質問
トラックドライバーの退職金は5年でいくらですか?
中退共の掛金が月5,000円なら、5年で30万4,100円です。月10,000円なら60万8,200円になります。会社の独自の制度なら会社ごとにちがうので、規程で確かめます。
運送会社の何割に退職金がありますか?
運輸業・郵便業では69.9%の会社に退職金の制度があります(厚生労働省の令和5年の調査)。全産業の74.9%より少し低めです。
1年で辞めたら退職金はもらえますか?
中退共では、掛金を払った月が12か月未満だと退職金は出ません。12か月から23か月は払った掛金より少ない額になります。
パートのドライバーにも退職金はありますか?
会社が中退共に入れていれば出ます。週30時間未満なら月2,000円からの掛金でも入れます。経験者130人のうちパートは33人でした。
業務委託のドライバーに退職金はありますか?
業務委託は会社に雇われていないので、会社の退職金はありません。売上の中から自分で積み立てる前提で考えます。
退職金がない運送会社は避けたほうがいいですか?
月収が高く長く続けられる会社なら、退職金がなくても自分で積み立てる手があります。比べるときは月の額と退職金を合わせて、10年でいくらになるかで見ます。
自己都合で辞めると退職金は減りますか?
会社の独自の制度では、自己都合だと減らす決まりの会社があります。中退共は辞める理由で額は変わりませんが、懲戒解雇などでは減らされることがあります。
長く続けると月収は上がりますか?
5年以上の正社員31人のうち金額で答えた16人の中央値は32.5万円でした。1〜3年の24.8万円より高めです。
ドライバーの退職金は年数と制度の中身で決まる
- 退職金の制度がある運送会社は69.9%で、10社に3社はない
- 1,000人以上の会社は90.1%、30〜99人は70.1%と大きさで差がある
- 中退共なら掛金5,000円で5年30万4,100円、1年未満は出ない
- 正社員の経験者68人のうち5年以上続けた人は31人
- 求人では何年からもらえるかと、中退共か会社の制度かを聞く
退職金は続けた年数で決まるので、続けられる会社を選ぶことがいちばんの備えです。
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